be a lawyer

【合格体験記】 鈴木さん(令和7年予備試験合格)

2026年2月21日

合格体験記

先日予備試験に最終合格しました鈴木と申します。私は、フルタイム勤務中に予備試験対策を始め、退職後はロースクールには通わず、BLYの個別指導を除いて試験対策は独力で行いました。退職前後のどちらでも不合格経験がありますので、多くの方が目標とするであろう短期合格はかなえられていません。本稿では、(短期合格を目指すこと自体の是非はともかく)どうすれば短期合格をすることができたのか、予備試験対策の着手前に知っておきたかったことを振り返りながら確認した上で、最後に働きながら合格を目指すべきか、辞めて勉強に絞るのとどちらが良いのか、まとめることができたらと思います。本稿は社会人受験生の方向けですので、先にご容赦いただけたらと思います。

予備試験対策に着手する前に知っておきたかったこと

1.短答と論文を並行的に取り組む。

ご案内のとおり、予備試験は短答・論文・口述から構成されていますが、計画として、まずは短答合格を目指す方が多いかと思います。短答が合格できなければ、論文への挑戦権が得られないからです。試験対策を始めたばかりの私もそうでした。インプット講義を聴いて、書籍や携帯で短答の過去問をひたすらポチポチ・・・、というのが働いていた時の勉強法でした。論文に関しては、起案や答案構成をする時間がありませんでしたので、良くても問題文と論述例を繰り返し読む程度だったと思います。

しかし、合格した今振り返ると、この勉強法は相当な遠回りだったと思います。まず、「短答が解ける」→「論文が解ける」ということにはなりません。論文は問題提起、判例や学説に沿った条文解釈や規範定立、事例に即したあてはめ、を順番にしていきますが、短答にはその中で用いられる知識の一部が問われるに過ぎません。また、短答では問われなくても、論文では問われるテーマもありますので、短答ばかりに時間を割いていると、こうしたテーマを見逃すことにもなります。加えて、短答で抜群のスコアをとれても、論文の成績には加味されませんので、無意味に時間を費やすことにもなりえます。

逆に、「論文が解ける」→「短答が解ける」は成立しえます。問題提起→規範定立→あてはめを自分で論じることを通じて、条文・判例・学説の理解を深めることができるからです。俗にいう「短答専門」の知識もありますが、そういったものは論文と短答の勉強を並行することで区別がついていきます。

限られた時間の中で、起案をするのは相当なパワーを使いますが、論文に力を入れられなければ、仮に短答を突破できても改めて多大な労力を割くおそれがあります。

2.論文対策も過去問を中心とし、その着手は早ければ早い方が良い。

退職後は、短答対策に加えて司法試験旧試験を中心に構成された予備校の教材を使って、起案や答案構成をしていました。しかし、かかる対策をしても論文試験で芳しいスコアを取ることはできませんでした。

短答については、ほぼ過去問しか取り組んでこなかったのに、論文については過去問を避けがちだったと思います。当時私は、練習問題(旧試)が解けない状態で過去問に取り組むのは無意味と考えていました。過去問は事案が長く、前後の復習の時間なども含めると労力が大きいと感じましたし、過去問だけ解けてもそれ以外のテーマが出題されたら危うい、という思いもありました。

逆に、合格までの1年間は、過去問を最優先課題として、起案は過去問だけにすることにしました。過去問の起案に70分又は90分を使うのは、エネルギーを使いますが、あてはめ要素や出題傾向など、旧試の演習からは得られないことを確認できたのが良かったと思います。

過去問については、インプットが足りない段階でも、問題と出題趣旨を一通り読んでみるだけでも効果はあったのではないかと思います。問題文を記憶してしまうので、後々起案する際に効果が落ちるとも思えますが、全年度全科目の試験問題を一度で記憶することはできませんので、効果が落ちるというわけでもなかったと思います。後々のことを考えるに、何をどの程度理解すればよいのか、を理解することが大事だったのだと思います。

なお、過去問については、予備試験だけでなく、司法試験の過去問にも目を通しておけばよかったと思います。自分は、予備の過去問の起案を一通り終えたあと、司法試験の過去問のうち数年度分に取り組むことができましたが、司法試験については出題趣旨に加えて採点実感も掲載されており、論述を期待されている条文・判例・学説が丁寧に記載されていたので、有意義でした。

論文対策は①予備過去問、②司法過去問、③演習書、④旧試の過去問、という順位で、かつ起案ができなくても出題傾向だけでも把握するために①・②については早期に取り組む、ことが最善だったと感じています。(※③については後述します)

3.予備校と適切な距離感をとる。合格者にアクセスできる環境を作る。

(※以下の予備校のサービスは改善されている場合があります。その点ご理解いただいた上でお読みいただけたらと思います。)

先述のとおり、私は予備校のビデオ講義から対策を始めましたので、教材は予備校のテキストが中心でした。しかし、残念ながら予備校のテキストで十分な知識を得られたかと言われれば、そうではありませんでした。「自社のテキストだけで十分合格できます」「基本書に手を出すと迷ってしまうので、基本書などに手を付けるのはお勧めしない」といった趣旨の発言が当時の講義中にあったと記憶していますが、この点について自分に過信があったと思います。結局、あてはめの考え方や知識の多くは、BLYから勧められた演習書や基本書から得られたと感じています。

また、自分が正しい方法で学習できているか確信が持てず、予備校のチューター制度を活用したこともありましたが、数週間に一度かつ短時間しか話せず、常に同じ担当者と話すこともできなかったことから、問題解決にはなりませんでした。

さらに、予備校には質問制度もありましたが、解答に数週間かかることもあり、実用的とは感じませんでした。

結局、私は予備校に対する期待を履き違えていたのだと思います。多数の合格者との情報の非対称を埋めて、学習法について迷いを持たせず、知識面の補充についても適時に回答していただける伴走支援については、他を当たるしかないと判断しました。

BLYを利用するようになってから、合格者の講師の方から多数の合格者が活用している基本書や演習書をご紹介いただくとともに、予備校の論証の中には必ずしもローの教授陣の評価が高くないものがあることなどを知りました。また、判例・学説などに関する質問にも丁寧に回答いただきました。論文の添削では、事例把握や答案構成のクセを知ることもできました。何より、講師の方が最近の合格者ですので、彼らの対策について自分にも応用できることが多いのがよかったと感じています。ノウハウ本などにもあるかもしれませんが、合格者のやり方を完コピするのが最善だったと感じました。

4.その他

①六法の使い方を当初から知っていればよかったと思います。私は対策を始めてからしばらくはポケット六法だけを使っていましたが、試験現場には書き込み済み又は参照条文付きの六法ではなく、まっさらの法文しかありません。試験現場に何冊も参考書を持っていくのは大変ですので、六法で復習できると便利です。対策を始め立ての方は、書き込みができるポケット六法と何も書き込まない法文の両方を用意するとよいと思います。

②毎週、短時間でいいので各科目についてインプット・アウトプットができていればよかったと思います。対策当初、予備校のカリキュラムに沿って、憲法から順番にビデオ講義を受けるのですが、最後の行政法や実務の講義を聞いたあとには、憲法や民法の知識はゼロになっていました。また、過去問の出題テーマを参考にして、講義の聴講の有無を決めてもよかったと思います。試験上、相対的に重要性が低い分野については、あまり時間を使わなくてもよかったように思います。

働きながら合格を目指すべきか、辞めて勉強に特化すべきか

結論から申し上げますと、仕事を辞めて勉強に特化したほうが、合格する見込みは大きくなると思います。仕事があると、おのずと勉強時間は制約されますし、勉強法についても正しい判断がしづらくなります。他方、辞める場合には、生活に制限が生じたり、人間関係が狭まるなどのデメリットはよく考慮いただく必要はあります。

上述のとおり、日常的な対策としては、ビデオ講義の聴講や短答対策だけでは不十分で、起案を含む論文対策や合格者とのコミュニケーションの機会を十分にとることが必要と考えます。働きながら合格を目指す際には、これらの時間を確保した上で、資力や職場・家庭の理解などの環境を整えることが必要かと思います。

合格者の多数は、学部時代から法律を学んでいる方又はローに入った方で勉強中心の生活ができる方々です。働きながら合格を目指す場合、そうした方々に、あえてハンディキャップ・マッチを挑むのですから、正しい方法を実践し、かつ適切な勉強時間を投入しなければ、いつまでも合格できません。試験は一年に一度しかなく、大学受験などのように模試の機会が多くはないので、対策の方針について見直す機会を設けることも大事かなと思います。

最後に、本稿をお読みいただいた、あえて困難に挑む方々に敬意を表するとともに、本稿が皆様のお役に立つことを祈念申し上げます。

新着情報一覧に戻る