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【2026年ロースクール入試】中央大学参考答案例 憲法

2025年8月29日

お知らせ

こんにちは、be a lawyer編集局です。

今回は先日実施された2026年度中央大学のロースクール入試の憲法の参考答案例を公開いたします。

よろしければご覧ください。

第1 主張①について

1 A市議会傍聴条例改正案(以下「本件改正案」という。)14条の規定は、憲法94条に違反し、違憲とならないか。本件改正案14条の規定が、上位法である地方自治法の「範囲内」(憲法94条)といえるかが問題となる。

2 本件改正案14条は、地方自治法130条3項の委任を受けて制定されたものとも思える。もっとも、地方自治法130条の趣旨は、議会の秩序を維持し、円滑な議事の進行に資する点にあると解される。一方で、本件改正案14条は、議会撮影及びこれをSNSに投稿することで生じる弊害を防止する趣旨であって、趣旨を異にする。

よって、本件改正案14条は、委任の趣旨を超えた自主条例である。

3 自主条例であっても、その制定権は無限定ではない。具体的には、法律と条例の目的が異なり、条例の目的が法律の目的を阻害するものでない場合や、法律と条例の目的が同一であっても、かかる法律が全国一律の制限を定める趣旨ではなく、条例の制限の趣旨がその地域の特性に照らし相当である場合には、条例による制限が法律による制限の程度を超えているような場合でも「法律の範囲内」であると解する(徳島県公安条例事件参照)。

4 本件についてこれをみると、地方自治法130条の目的は、傍聴人が会議を妨害する場合に、議会の秩序の維持、円滑な議事の進行のために制止の命令に従わない傍聴人に対して、退場をさせ、必要がある場合には警察官に引き渡すことによって、かかる目的を達成する点にある。一方で本件改正案14条は議会撮影及びこれをSNSに投稿することで生じる弊害を防止する趣旨であってこれらの規定は目的を同一にするものではない。

もっとも、本件改正案14条を適用することによって地方自治法130条の目的を阻害するものではない。

5 したがって、本件改正案14条は「法律の範囲内」のものであるといえ、憲法94条に反さず合憲である。

第2 主張②について

1 本件改正案14条の規定が、傍聴人が議会の写真、映像等を撮影し、または録音する自由を不当に侵害し、憲法21条1項に反し違憲とならないか。

2 まず、傍聴人の情報摂取の自由は憲法21条1項により保障されるか。

この点について、知る自由は、個人の人格、思想の形成・発展にとって必要不可欠であるから憲法21条1項により保障されると解するべきである(よど号ハイジャック事件)。そして、傍聴人が議会の写真、映像等を撮影し、または録音する行為は摂取した情報を記憶・発信するために必要な行為であるから、これらの自由も知る自由に資するものとして憲法21条1項の精神に照らし尊重されると解するべきである。

3 本件改正案14条は、傍聴人が議会の写真、映像等を撮影し、または録音することを原則として禁止するものであるから、上記の自由を制約している。

4 では、本件改正案14条による制限は正当化されるか。

(1)レペタ事件判決は、裁判における情報摂取のために行われる筆記行為の自由について、憲法21条1項により直接保障されるものではないから、厳格な審査基準は要求されないとしている。議会の傍聴人が議会の写真、映像等を撮影し、または録音する行為も、知る自由に資するものではあるが憲法21条1項により直接保障されるものではないから、この判決の趣旨は妥当する。

また、本件改正案14条は、議会の傍聴自体を制限するものではないから、制約の態様も強度なものとはいえない。

そこで、本件改正案の合憲性は、ⅰ目的が重要であり、かつⅱ手段が目的との関係で実質的な関連性を有するか否かで判断すべきである。

(2)ア ⅰについて

本件改正案の目的は、会議の秩序を維持し、自由で十分かつ公正な審議・議決等を確保するため、恣意的な切り取りや議員に対する中傷、他の傍聴人が映り込んでいる動画等の投稿を防止する点にある。

近年のA市議会では、本会議を撮影等した傍聴人が動画投稿サイトやSNSで、議員が目を閉じた瞬間や議員同士で話し合っている場面を恣意的に切り取って、議員を中傷する写真や動画を投稿する事例が増えてきており、それによって他の傍聴人のプライバシーが侵害されたり、議員や参考人・関係人の発言に圧力・萎縮的効果が生じていたりしており、会議の秩序が損なわれ、自由で十分かつ公正な審議・議決等の確保が難しくなっていると言える。

このような立法事実に鑑みれば、立法目的は重要なものと言える。

イ ⅱについて

上記の立法事実に照らせば、傍聴人による録画、写真撮影、録音を原則として禁止すれば、問題となっている動画等の投稿を防ぐことができるから、手段の適合性は認められる。

次に、例外的に「議長が公益上特に必要と認められる場合」、具体的には報道機関による撮影等は認められる想定であるから、市民の知る自由は報道機関の映像やライブ中継を通じて保護される。また、知る自由のうち、撮影や録音をする方法を禁止されるにとどまり、議会を傍聴することは許されているのであるから、手段が強度にすぎるとはいえず、手段必要性も否定されない。

(3) よって、本件改正案14条の制限は正当化される。

 

5 以上より、本件改正案14条は、憲法21条1項に反さず合憲である。以上

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