【2026年ロースクール入試】中央大学 民法参考答案
2025年9月1日
お知らせ
にちは、be a lawyer編集局です。
今回は先日実施された2026年度中央大学のロースクール入試の民法の参考答案例を公開いたします。
よろしければご覧ください。
2026年中央大学ロースクール入試 民法
第1 設問1
1 小問(1)について
(1)D及びEは、Fに対し共有持分権(民法(以下法令名略)249条1項に基づく返還請求としての甲土地明渡請求をしている。
ア 甲土地は、Aが元所有(206条)しており、2025年2月1日にAが死亡したことにより、Aの子であるC、D、Eがそれぞれ3分の1の持分に従い甲土地所有権を相続した(882条、887条1項、898条1項2号、900条4号)。したがって、D及びEは甲土地について3分の1ずつの共有持分権を有している。
イ Fは甲土地上に自己の所有する自動車を駐車することにより、甲土地を単独で 占有している。
(2)これに対し、Fは、甲土地について、共有持分権を有するCから占有権原を得て 占有していると反論することが考えられる。
ア 共有者は、その持分に従い、共有物の全部について使用収益する権限を有する (249条1項)。そして、共有者から占有権原を承継した者も、その持分に従い共有物を使用収益する権原を有する。そこで、少数持分権者に対してであっても、他の共有者は当然にその明渡しを請求することができるものではなく、少数持分権に対して共有物の明渡しを求める正当な理由を主張立証しなければ、共有物の明渡しを求めることはできないものと解するべきである。
イ 本問において、Fは、2025年6月1日、甲土地の共有持分権者であるCか ら承認を受けて甲土地を占有しているのであり、FはCの共有持分権の限度で占有権原を承継した者である。そうすると、本問では、D及びEはFに対し甲土地明渡しを求める理由を主張立証しなければならないが、これを基礎付ける事情はない。
ウ よって、Fの反論は認められる。
(3)したがって、D及びEの請求は認められない。
2 小問(2)について
(1)D及びEの請求の根拠は上記1(1)と同様である。
(2)これに対し、Fの甲土地占有権原も上記1(2)と同様である。
(3)では、明渡しを求める正当な理由は認められるか。
ア D及びEは、明渡しを求める正当な理由として、D E間において、共有物管理方法について、Dが単独で使用する旨を決定した(252条1項前段)ことを主張すると考えられる。
イ 共有物を単独使用する旨の決定は、「共有物の管理に関する事項」に当たるため、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決することができ(252条1項前段)、これは共有物を使用する共有者があるときも同様である(同項後段)。そして、上述のとおり、C、D、Eは相続により各3分の1ずつ甲土地の共有持分権を取得しており、DとEは合わせて3分の2という過半数の持分権をもって甲土地をDが単独使用することを決定している。
ウ よって、本問では、かかる決定をもって、共有物の管理方法の決定が認められ るため、Fに対し甲土地明渡しを求める正当な理由が認められる。
(4)よって、Fの反論は認められず、D及ぶEの請求は認められる。
第2 設問2
1 D及びEは、乙建物の共有持分権に基づく使用対価の償還請求(249条2項)としての、賃貸相当額の支払いを請求していると考えられる。
(1)本問では、乙建物はAが元所有していたところ、A死亡により、Aの子であるC、D、Eがそれぞれ3分の1の相続分をもって甲土地の所有権を相続した(882条、887条1項、898条1項2号、900条4号)。したがって、D及びEは乙建物について共有持分権を有する。
(2)Cは、Aの死亡後、単独で乙建物を使用しており、「自己の持分を超える使用」(249条2項)が認められる。
2 これに対しCは、D及びEを貸主、Cを借主とする、乙建物の使用貸借契約(593条)が推認されるとして、同契約に基づく無償の占有権原を有すると反論することが考えられる。
(1)共有相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て遺産である建物において被相続人と同居してきたときは、特段の事情がない限り、被相続人と右同居の相続人との間において、被相続人が死亡し相続が開始した後も、遺産分割により右建物の所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続き右同居の相続人にこれを無償で使用させる旨の合意があったものと推認されるのであって、被相続人が死亡した場合は、この時から少なくとも遺産分割終了までの間は、被相続人の地位を承継した他の相続人等が貸主となり、右同居の相続人を借主とするというべきである。
(2)本問では、CはBを介護するため乙建物でA及びBと同居し、B死亡後は、Aを献身的に介護した。Aは、死亡するまで乙建物においてCと家族として共同生活を継続し、Cが乙建物に同居することに反対することはなかった。そうすると、Cは被相続人たるAの許諾を得て遺産である乙建物において同居していたといえる。そして、本問においては、いまだAの遺産について遺産分割は完了していない。
(3)よって、本問においては、D及びEを貸主、Cを借主とする乙建物についての 使用貸借契約が推認されるから、Cの反論は認められる。
3 以上よりD及びEの上記請求は認められない。

be a lawyer公式LINEでは受験生向けに有益な情報を発信中!以下より友だち追加してみてください!
