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東京大学法科大学院(ロースクール)に受かるための勉強法・入学後の過ごし方とは?

こんにちは、be a lawyer講師のkです。今回は東京大学法科大学院(ロースクール)出身者の私が東京大学法科大学院(ロースクール)に受かるための勉強法・入学後の過ごし方

東京大学法科大学院合格のための勉強法

〈勉強方法〉

私が東京大学法科大学院を受験した際の最大の特徴は、過去問からもそのように言えのですが、入試問題が「判例ゲーム」と呼んでいいほど判例を中心とした出題であったことです。このことは、私に指導をしてくださった、東京大学法科大学院に所属していた先輩がおっしゃっていたことでもあるので、間違った認識ではないと思っています。もちろん判例以外の知識も求められますが、全科目において判例の知識と理解が問われ、判例の内容を正確に把握し、適切に論述する力が重要視されていたと思います。

そのため、私はまず出題範囲である科目の判例を勉強のするため、有斐閣の「判例百選」を徹底的に読み込みました。ただ読むだけではなく、東京大学法科大学院の教授が解説を担当している判例にはマークをつけ、特に直前期にはその判例を読み直しました。「判例百選」は単なる判旨の暗記ではなく、理由付け、理論構成、また必要があれば背景まで理解することに注力しました。疑問点があれば解説を細かく確認し、内容を深く掘り下げました。特に憲法は判例の重要度が高いため、「判例百選」を使った学習が最も効果的であったと感じています。他のロースクールにおいても言えることではあると思いますが、憲法の問題で、判例を意識して書かないと、それだけで点数を大きく落としてしまうことにもなってしまうと思います。

また、過去5年以上の東京大学法科大学院の入試問題をすべて解き、時間を計って本番さながらの演習を繰り返しました。なお、この時間についてですが、自宅で解いてしまうと緊張感もなく、若干時間を過ぎてしまうことは多々ありました。ただ、本番は緊張感があって、絶対に時間内に終わらせないといけないこともあったので、受験してきたロースクール受験において、途中答案になってしまうことはありませんでしたので、練習の段階で時間を若干超過してしまうこと自体を悲観的に捉える必要はないと思います(あまりにも時間をオーバーしてしまう場合は答案を時間以内に書くという練習がより必要になると思いますが。)。

さらに、東京大学法科大学院では、いわゆるマイナーである論点も出題されるため、特に民事訴訟法の基本書として商事法務の『ロープラクティス』を用いて広く論点をカバーし、演習を繰り返しました。なお、演習を繰り返すと言っても、通学時間の行き、帰りで答案構成をして、解説を簡単に読んで、答案を書くイメージした程度ですので、学習時間自体はそんなにかかっていないと思います。行政法に関しては『趣旨規範ハンドブック』を使い、規範の意味や適用範囲を丁寧に確認し、さらに行政法の基礎固めには『基礎演習行政法』を活用しました。また、刑事訴訟法では『事例演習刑事訴訟法』を用いて論点の整理を行い、刑法につきましては、中央大学の課外講座の教材で基礎的事項を繰り返し学習しました。

さらに、私は大学の課外講座「東大ロー入試対策ゼミ」に参加し、東京大学法科大学院在籍の先輩に過去問を解いた答案を添削していただきました。先輩の具体的な指摘や助言は、自分の弱点を把握する上で大変貴重であり、学習の効率化につながりました。それゆえに、答案添削をしてもらうことは、学習の上で重要なことであると考えています。その際に、添削者も完璧でないことに留意する必要があると思います。添削者がくれるコメントをただ鵜吞みにするのではなく、利用できるところは活かして、逆に内容的に不正確なのではないかという部分を見極め、批判的に添削の内容を見ることが大切になります。

また、ここで答案構成をするか、するとしたらどのようにすべきかといった旨のことを時々聞かれますが、自分はほとんど答案構成をしておりませんでした。答案構成をしたとしても、問題となる論点を簡単に書くだけでほとんどしっかりとは行っておりませんでした。というのも、ある先輩に添削をしていただいた際に、自分も答案構成についてお伺いしたところ、「答案構成も丁寧にするのはいいけど、答案構成に点数入っていないからね。」と言われました。私は、その時にその言葉に共感してしまったこともあって、答案構成に力を入れなくなりました。ただ、私が自主ゼミを組んでいた友人は、答案構成をしっかりと行う(答案構成にも時間をかける)方でしたが、司法試験に合格しているので、いろいろな方法があると思うので、自分自身に合った方法を探すべきだと思います。

〈受験前、受験時の状況〉

当時、私は法曹一貫コースに所属しており、3年で大学を卒業しようとしていたため、大学4年生や既卒者など、比較的勉強時間の長く、勉強時間を確保できる受験生と競わなければならず、その点で緊張感を持っていました。一方で、慶應義塾大学のロースクールも同時に受験していたため、本番では慶応義塾大学のロースクールの受験の経験が心の余裕となり、過度な緊張は感じませんでした。

しかし、大学3年生での受験だったこともあり、大学の授業との両立は難しかったです。受験前には、受験とは全く関係のない「外国法概論」や「文化論」、「ウナギに関する講義」を受けながら、焦りを感じる日もありました。そうした環境下でも、「自分ができない問題は周囲もできない」というスタンスを持ち、過剰な焦りや不安に陥らないよう努めました。この心構えは、その後の司法試験学習においても、大変精神的に役立った考え方だと個人的には考えています。

また、通学時間が長かったため、その移動時間を有効に活用し、周囲より勉強時間を確保できいないということを補ってもいました。具体的には、判例百選の読み込みや過去問の論点確認など、細切れの時間を積み重ねることで学習量を確保しました。

〈受験直前の学習サイクル〉

直前期の学習について、まとめると以下のようなサイクルになります。

・判例百選を通読し、特に教授印のついた判例を必ず読む。

・過去問を、時間を計って本番同様に解く。

・間違えた論点や不明点は『ロープラクティス』などの教材で補強。

・行政法は『趣旨規範ハンドブック』で規範を念入りに確認。

・疑問点が出てきてしまったら、急いで先輩や友人に積極的に質問し、理解を深める。

この学習方法は、慶應義塾大学ロースクール受験時にも同様に用いました。ただし、慶應では行政法が出題範囲外であったため、行政法の学習は除外していました。結果として、私は東京大学と慶應義塾大学、いずれのロースクールでも一般選抜・解放型の両方で合格をすることができました。このことから、判例重視かつ過去問中心の勉強法は、東京大学法科大学院に限らず私立のロースクール受験にも十分適応可能であると考えています。

東京大学法科大学院入学後の過ごし方

〈授業〉

入学後の授業は、司法試験対策に直結しない内容も多く、私は予習も最初のうちは丁寧に行っていましたが、徐々に授業中に指名された際に答えられる程度の準備にとどめるようになりました。時間を自主学習や司法試験の過去問演習に充てることが、司法試験の合格のためには効率的だと考えたためです。

〈自主ゼミ〉

司法試験対策としては、友人3人と自主ゼミを結成し、各自が司法試験の過去問を解いてきて、わからない点や疑問点を持ち寄って議論しました。全員で順番に問題を解くスタイルではなく、質疑応答や議論に重点を置きました。必要に応じて基本書や判例百選の解説を確認し、特に司法試験の出題趣旨や採点実感を熟読して出題者の意図を把握することを重視しました。

また、行政法に関しては、司法試験の過去問だけでなく、別教材を使用して自主ゼミを行いました。

ただ、選択科目の経済法だけは自主ゼミを組まず(その3人の友人が別の科目を選択科目としていたため)、経済法の教科書と、辰已法律研究所の「1冊だけで経済法」、商事法務の「論点解析経済法」を使用して、ほぼ完全独学で学習しました。

〈成績〉

成績については、第1〜第4ブロックのうち第2ブロックに位置し、GPAは3.3でした。東京大学法科大学院においては第2ブロックまでに位置する学生は司法試験合格の可能性が高いとされており、成績に対する安心感を一定程度持ちながら学習に臨むことができました。

終わりに

東京大学法科大学院合格のため(全てのロースクール受験に妥当するとは個人的には思いますが)には判例中心の学習と過去問の反復演習が鍵となります。大学の課外講座や先輩の添削を活用し、通学時間も学習に充てるなど工夫を重ねました。慶應義塾大学ロースクールの受験経験もあり、精神的余裕を持って挑めたことが合格に繋がったと感じています。

入学後は自主ゼミでの議論や独自の司法試験対策に力を入れ、成績は上位には入れなくても、ある程度の成績を維持することに努めました(そのため、東京大学法科大学院で上位の成績を狙っている方からすると参考にならないかもしれません。)。

これらの私の経験が、これからロースクールを目指す方々の参考に少しでもなれば幸いでございます。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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