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平成23年予備試験 行政法 参考答案

2026年6月13日

参考答案

<平成23年予備試験 行政法 参考答案>

第1 設問1

1 「処分」(行政事件訴訟法3条2項)とは、公権力の主体である国又は公共団体が行う行為のうち、その行為により直接国民の権利義務を形成し、又はその範囲を確定する法律上の効果を有するものをいう。具体的には、①公権力性、②直接的個別具体的法的効果が要件となる。

2 本件不同意決定がこれに当たるか検討する。

⑴ 本件不同意決定は、本件条例5条に基づき乙町長が一方的に行うものであるから、公権力性が認められる(①)。

⑵ もっとも、「処分」に当たるためには具体的法効果性を有することが必要である。

ア 本件不同意決定がされたとしても、それ自体によって建築行為が法的に禁止されるものではない。建築確認を受ければ建物の新築自体は可能であるから、不同意決定により直ちに建築主の権利義務に変動が生じるものではない。

イ また、不同意決定後に建築主が工事を開始した場合、中止勧告を受ける可能性がある(本件条例7条1号)。しかし、中止勧告は行政指導にすぎず、法的拘束力を有しない。したがって、中止勧告の存在を理由として不同意決定の処分性を基礎づけることはできない。

ウ さらに、町長は同意を得ない建築主に対し中止命令を発することができ(同号)、これに従わない場合にはその旨が公表される(本件条例8条1項)。

確かに、公表は事実行為であるものの、旅館業を営む者にとっては社会的信用の低下を招く重大な不利益となり得る。また、一度公表により社会的信用が低下してしまえば、当該損害は事後的な回復が困難であることから、不同意決定の段階で権利救済を図る必要性も問題となる。

 もっとも、本件条例7条は、中止命令について「することができる」と規定しており、町長には中止命令を発するか否かについて裁量が認められている。そうすると、不同意決定がされたからといって、当然に中止命令及びこれに伴う公表がされるわけではない。

また、中止命令が発せられた場合には、その取消訴訟において違法性を争うことが可能であり、実効的な権利救済の機会も確保されている。

 したがって、不同意決定によって建築主の法的地位に直接具体的な変動が生じるとはいえない。

⑶ 以上より、本件不同意決定は具体的法効果性を欠き、「処分」には当たらない。

3 したがって、本件不同意決定は行政事件訴訟法3条2項の「処分」に該当しない。

第2 設問2

1 Aとしては、乙町を被告として、不同意決定の取消訴訟と併せて、町長に対し同意決定をすべき旨を命ずる申請型義務付け訴訟(3条6項2号)を提起することが考えられる。

2 以下、その訴訟要件を検討する。

⑴ 取消訴訟について

 取消訴訟の訴訟要件は、①処分性(3条2項)、②原告適格(9条1項、2項)、③狭義の訴えの利益、④出訴期間(14条)、⑤不服申立前置主義が採用されている場合は、「審査請求に対する裁決を経た」こと(8条1項ただし書、8条2項各号がその例外を定める)、⑥被告適格(11条)、⑦管轄裁判所(12条、裁判所法33条1項1号、同法24条1号)である。

ア 本件不同意決定は、中止命令及び公表制度と一体として建築主の法的地位に重大な影響を及ぼすものであるから、「処分」に当たる(①)。

イ Aは本件不同意決定の名宛人であるから、「取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者」(9条1項)として原告適格を有する(②)。

ウ また、不同意決定が取り消されれば、中止命令や公表による不利益を回避し得るため、狭義の訴えの利益も認められる(③)。

エ さらに、Aは平成23年2月18日に本件不同意決定を知っており、平成23年7月上旬の提訴であれば、「処分があったことを知った日」から6か月以内であるから、出訴期間(14条1項本文)も遵守している(④)。

オ 不服申立前置は問題とならない(⑤)。

カ 乙町には被告適格が認められ、乙町を管轄する裁判所に管轄が認められる(⑥、⑦)。

オ 以上より、取消訴訟は適法である。

⑵ 申請型義務付け訴訟について

 ①処分性(3条6項2号)、②原告適格(「法令に基づく申請又は審査請求をした者」37条の3第2項)、③狭義の訴えの利益、④併合提起(37条の3第3項1号or2号)、⑤被告適格(38条1項、11条1項)、⑥管轄裁判所(38条1項、12条、裁判所法33条1項1号、24条1号)

ア 上記のとおり、処分性は認められる(①)。

イ Aは本件条例3条に基づき同意申請をした者であるから、「法令に基づく申請をした者」(同条2項)に当たる(②)。

ウ 狭義の訴えは問題とならない(③)。

エ そして、Aは本件不同意決定の取消訴訟を適法に提起することができ、これを義務付け訴訟に併合して提起している(同条3項2号、④)。

オ 乙町には被告適格が認められ、乙町を管轄する裁判所に管轄が認められる(⑤、⑥)。

3 以上より、Aは、乙町を被告として、本件不同意決定の取消訴訟と、同意決定を命ずる申請型義務付け訴訟を併合して提起すべきである。

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