令和5年司法試験合格者 合格体験記(中位合格者編)

こんにちは、be a lawyer編集部です。

今回は、令和5年司法試験合格者(中位合格者)の合格体験記を掲載いたします。これから司法試験の勉強を始めようとしている方、ロー入試を受けようと考えている方は、先輩がどのようにして司法試験の合格を果たしたのかを分析し、自分が今何をすべきなのかを明確化することが重要です。

ぜひ、参考にしてみてください。


〜経歴〜

私は、中学・高校はテニス部に所属し、部活漬けの6年間を過ごしました。

大学受験の際に将来やりたい職業が特に定まっていなかったところ、いとこに「それやったら、文系で一番上の法学部受けたら」ということを言ってもらって、法学部を受験しました。

法学部に入ったものの、中高6年間は部活漬けだったので、存分に大学生活を楽しみたいなと思っていたので、全く勉強せず、大学1.2年生はサークルやバイトに多くの時間を費やしていました。

大学の授業は出席がないことをいいことに全く出席せず、テストの直前に友達にノートを見してもらって一夜漬けでなんとか単位を取るといった、今思えば非常に恥ずかしいことをしていました。この時は自分が司法試験を受けるなんて全く思っていませんでした。

司法試験の結果

短答

憲法28/50  民法48/75 刑法40/50   合計116点  2100番前後

論文

憲法A  行政法D

民法A  商法C   民事訴訟法B

刑法C  刑事訴訟法B

経済法 62点 50番前後

1000番代前後

法曹を志した理由

大学3年生になり周りの友達が就活を始める中で、自分は将来どういう仕事をしたいのかを考えた時に、今までお世話になった人や家族・友人などが困った時に助けられたり、役に立つことができるような仕事をしたいなと思い、法曹を志しました。

私は、学歴が高いわけではなく、勉強も得意ではなかったので、司法試験に合格するなんて、夢のまた夢でしたが、自分自身今まで何かを成し遂げたことがなかったので、努力して何か一つ物事を成し遂げたいなという思いもあり勉強し始めました。

〜大学生時代(ロー入試まで)の勉強法〜

(講座選択)

まず予備校は、合格率のシェアが高かった伊藤塾にすることは決めていたのですが、どの先生にするかを非常に悩みましたが、体験講義を受けて、伊藤塾の呉先生のクラスを選択しました。

呉先生は難しい概念や論点も噛み砕いて、初学者でもわかるように説明して下さるので本当におすすめです。

最初の入門講座をどの先生にするかは本当に重要だと思うので、多くの体験講義を受けたり、先輩に聞く等して比較するのが良いと思います。

私は、呉先生を選択したことは今でも本当に良かったなと思っていますし、もう一度入門講座を取るとしても呉先生の授業を選択すると思います。

(講義の受講の仕方)

最初のうちはとにかく講座を消化することに専念していました。

講座を受ける時には、とにかく先生が言っていることを細かくメモをして、後でテキストを見返した時に理解できるように意識していました。基本的には1.5〜2倍速で講座を受講し、わからないところは何度も聞き直すという風にしていました。何度聞いてもしっくりしない箇所は、付箋を貼っておき、一旦飛ばして一通り終わってから戻ってくるようにしていました。

(論文マスターの受け方)

論文マスター(問研)に関しては、予習はせずにとりあえず講義を消化しました。

私の場合は、問研はアウトプット教材というよりは、インプット教材という位置付けで、各論点の書き方を問研からインプットするという勉強をしていました。問題文を見て、少し考えた後にすぐ解答例を参照し、問題提起の仕方、論証、当てはめ方、論じる順番等に意識を向けて、各論点の書き方を習得していきました。

(直前期)

4年生の春くらいになると受験するロースクールの過去問を見て、どのような論点が出ているのか、傾向などをザックりと把握するようにしていました。

ロー入試までに何とか講座を消化し、後はひたすら問研と論証の繰り返しを行なってました。

そして、規範や論証を印刷したものを持ち歩き、移動時間等の隙間時間に繰り返し見るようにしていました。

(受験したロースクール)

私は、立命館法科大学院、同志社大学法科大学院、神戸大学法科大学院の3校を受験しました。

最初は既習に受かるか心配だったので、立命館法科大学院を受ける際には、未修と既習の両方を受験しました。結果は既習には合格したものの、未修には落ちてしまいました、、、

結果的には、3校とも、既習はギリギリ合格を頂くことが出来ました。

〜ロー入学後〜

ロースクールの試験が終わると、友達で精一杯遊ぶと決めていたので、本当に全く勉強しませんでした。その結果、ロースクール入学初日にある試験で、70人中69位という成績を取ってしまい、「ここまでほんまにやばい」と思い、ここから気持ちを入れ替えて勉強するようになりました。

今までロースクールを受ける人や司法試験を受ける人が周りにいなかったので、ロースクールに入った際は周りの人がとにかく賢そうで、自分はやばいところにきてしまったと心の底から思いました。

ロー入学後は、授業の予習が大変で、予習追われ、なかなか司法試験の勉強をすることができませんでした。そのため、2Lの春学期を終えて夏休みから始めて司法試験の過去問に着手することにしました。

司法試験過去問の勉強法

最初に過去問を起案した際に、自分で採点実感等を読み解くのは難しいと思ったので、予備校の講座を取ろうと思いました。色々と調べた結果、LECの矢島先生の司法試験過去問講座を取ることにしました。今もう一度受け直すしても矢島先生の講座を選択するかなと思います。公法系に関しては、加藤ゼミナールも良いかなと思います。

やり方としては、①該当範囲のインプット→②問題文読む→(答案のイメージする)→③講義受ける→④講義で先生が指摘していたところを意識しながら実際に起案する→⑤起案してみて、理解できなかったところ、書き方がわからなかった等、なぜ書けなかったのかを分析して、課題をメモしておく(次起案する時にその課題をクリアできるようにする)⇒該当範囲のインプットのやり直し、という流れで勉強いました。

司法試験を受けるまでに、8年分くらいを大体2.3周はしたと思います。

論文の勉強法〜

【憲法】

憲法は過去問や演習書の解答例を参考にして、各人権毎を書き方を固めることを主眼として勉強をしていました。具体的には、司法試験過去問に関しては、LECの矢島先生の解答例や伊藤塾の解答例等を収集して、演習書に関しては、「判例から考える憲法」の解答例を参考にして、政教分離・平等権・思想良心の自由等、各人権ごとに自分なりの型を作っていきました。

また、憲法は判例が重要なので、過去問に出てきた超重要判例は、事案・ロジック・判断枠組みを抑えるようにしていました。

違憲審査基準に関しては、加藤ゼミナールのサンプル授業や、伊藤たける先生の憲法の流儀から、目的・手段審査のあてはめ方等を学びました。

(教材)

・インプット…LEC矢島先生のテキスト

・演習書…判例から考える憲法

・司法試験過去問

【行政法】  

行政法は一通りのインプットが終わるとすぐに司法試験過去問に取り掛かりました。

初めて解いた際はこんなの解けるかああ、、、と絶望しましたが、何度も何度も繰り返し起案していると大体こんな感じかな、、というのが少しずつ掴めてきました。

処分性、原告適格、裁量等の頻出論点は過去問を通じて自分なりの型を作っていました。

後は、判例がとても重要なので、重要判例に関しては、事案とロジックとキーワードを押さえるようにしていました。

(教材)

・インプット…LEC矢島先生のテキスト

・司法試験・予備試験過去問

・演習書…基礎演習行政法

【⺠法】

民法に関しては、とにかく論点が多いので、ロープラクティスを中心に論点を潰していくイメージでとにかく網羅的にやっていき、穴がないようにすることを意識していました。

各論点の問題の所在、論証、書く順番、あてはめの要素等がすぐに吐き出せることを目標に何度も取り組んでいました。

試験までには大体3周くらいはしたと思います。

(教材)

・インプット…呉基礎本

・演習書…ロープラクティス

・司法試験・予備試験過去問

【商法】

商法に関しては、過去問である程度論点が網羅されているので、過去問を優先的に取り組んでいました。司法試験に何度も出ている重要論点に関しては、書き始めや論証部分、当てはめなど、書き方をしっかり固めて瞬時に描けるようになることを目標としていました。そして、過去問に出ていない論点に関しては、重問等で補っていました。

(教材)

・インプット…LEC矢島先生のテキスト+リーガルクエスト

・司法試験過去問

・重問

【⺠事訴訟法】 

民事訴訟法に関しては、苦手意識があり、論点毎の理解が浅かったので、インプット教材を、何度も見直して、正確に理解することに重点を置いていました。市販のテキストでいいものがわからないかったので、ロースクールの授業で使った問題を繰り返し復習していました。

直前期には、重要判例を一つ一つ押さえていくということもしていました。

(教材)

・インプット…LEC矢島先生のテキスト+リーガルクエスト+ロースクールの授業のレジュメ

・司法試験過去問

・百選

【刑法】

・刑法は、ロー入試前に問研を繰り返しやっていたので、司法試験過去問と予備試験の過去問を繰り返し起案していました。そして、過去問にない論点に関しては、問研等で補うというやり方で勉強していました。

・インプットとしては、矢島先生のテキストと、大塚先生の応用刑法を使っていました。応用刑法は答案の具体的な書き方が示されていたので、繰り返し読んでいました。

(教材)

・インプット…LEC矢島先生のテキスト+応用刑法

・司法試験・予備試験過去問

・演習書…刑法事例演習

【刑事訴訟法】

刑事訴訟法は、インプットを一通り終えたら、すぐに司法試験過去問に取り掛かりました。過去問でほぼ論点が網羅されているので、とにかく過去問を何回も起案してました。復習の際には、司法試験過去問の参考答案や上位合格者の当てはめ方を参考にしていました。

そして、司法試験過去問に出てない論点は、予備試験や重問等で補なっていました。

(教材)

・インプット…LEC矢島先生のテキスト

・司法試験・予備試験過去問

  →過去問を何度もとき、あてはめ方の練習をする。参考答案を見本にあてはめ方を磨く

・演習書…事例演習刑事訴訟法

【経済法】

経済法はロースクールの授業で起案する機会が多くあったので、その度に起案をしていました。インプットを一通り終えるとすぐに司法試験過去問を取り組み、参考答案から当てはめの仕方等を学びそれをストックしていくような勉強をしていました。

(教材)

・インプット…条文から学ぶ独占禁止法

・演習書…論点解析経済法

・司法試験過去問

【使用した基本書】

憲法

・憲法学読本

行政法

・基本行政法

民法

・使用してない

商法

・リーガルクエスト

民事訴訟法

・リーガルクエスト

刑法

・応用刑法

刑事訴訟法 ・リーガルクエスト